しれっと 小手先の強さ 

なんか、あんまりかっこよくない男がちょっとすごいことをした。ちょっとした、すごいことを。それを見て女の子たちは、ちょっと騒ぐ。

俺もできるよ、とは言わないが、なんだったかなー、アルバイトしてるだとか、それとも貸してみだったかしら。とにかくかっこいい男もそれをした。
かっこいい男はそれから何度かそれをして、最初の男への注目はまるきりなくなった。

この男の狡猾さ、この狡猾さゆえに、男はかっこいい男でいられるのであった。人の手柄を、自分のとこへ持ってくるのがうまい。
このしたたかさは、せっかくだから見習いたい。見習いたいが、男がやったのは、おれもできるよかっこいいよ、というポーズだけ。よくもまあ、自分がかっこいいとだけ、臆面もなく言えたものだ。

悲しいのは、この手柄を取られた男も、かっこいい男を立てるような振る舞いをすることだ。このかっこよさげな男は、よくよく見たらかっこよくない。それ自体には価値はないが、人と人との間において価値があるように振舞う人。そしてそれに、多くの人は一目置くのだろうか。

この男の周りにいる限り、自分が評価されることは少ない。そういう体制を、男は必死にひいているのだ。その姿は、距離を置くとつまらないものだ。
こういう体制の中から、この男を倒すことは難しい。この男はこういう体制を敷き続けて、ある程度幸せであるかのようだが、その実幸せなのだろうか。貧しい幸せ。他人を見下す幸せ。

ま、せせこましくやってるといいわ。この男を倒すのは、普段手駒として扱ってきた人種。

ぼくはー、アクを倒さないといけないのでー、あんまりさぼってちゃあいけないよ。


まー、嫉妬なのかなー。原動力になったらいい。原動力の全てが嫉妬ならどうだかって感じだが、理想論で動き、幸福追求の面と、罰の面、今の身のない実力者に一矢報いることなく没するというシチュエーションで、自分が燃えるといいなあ、なんて。両輪。

なんだろ、方向としては、みんな楽しそうなのに俺だけみじめで悔しい!!そんで楽しそうにしてる奴らのなんとしょうもないことか!!ていう思い込み。
いいんだ、楽しそうにしてるだけで、入ってみたらあんまり楽しくなかったのも事実。自分が欲しいものが、そういうものじゃなかったってだけの話しさ。

悪徳メディア王国を倒すために立ち上がった、キュロス王を自らと重ねて。時の権力者への蜂起。