テルマエロマエ5巻 自殺島8巻

全巻は、馬ハナコがバーンて登場して、作者さんだけが楽しんでんじゃねーのって白けたが、巻末で馬を登場させた意図が書かれてあって、なるほどなーって。すぐれたものを書く、作るには、律儀さっていうか責任感が必要なんだと思った。構成力、しっかりと練ることが必要。

あと、ルシウスが、馬に乗ってならず者を懲らしめるのがかっこよかった。さすがに戦を行うローマ兵士だから、いきがってるだけの現代人ならず者なんか相手にならん。本場の人間の強さがまざまざと描かれていて興奮した。

女の子、さつきちゃんが、ルシウスに惚れている。仕事ができる人間がかっこいいのは明らかなのに、それがあんまり浸透してないのはどうしてなのか。女子諸君。顔なんか、中身から照らし合わせていくらでも変わって見えるじゃん。男は中身ですよ・・・。


自殺島8巻。サバイバルっていう極限の状態、人々の工夫を見ているのが楽しい。いい子チームと悪い子チームがあって、いい子チームは当然うまくいっている。悪い子チームは、ひとりガキ大将がいて、コイツが独裁政治、恐怖政治を引いているんだけど、いい子チームの方が強いと思った。悪い子チームは、力での支配の分、生産にさける労力が減る。一方いい子チームは協力っていう体制のもと、生産が進む。効率化が進む。
と思ったが、ちょっと違ってた。悪い子チームは、欲望を餌にして、ここでも自治が働いていた。押さえつけるよりは、むしろ解放を促していた。これだけでも、そういう形もあるな!て感心したんだが、解放に適応しない人は容赦なく切り捨てていて、あーすごい完成した制度を築き上げてるなって感動した。
カイはやっかいやなー。こいつがいることで、悪い子チームによくある問題点がこまめにフォローされてしまう。実力だけで成り上がった武家が、名前も手に入れたようなもの。大義名分を与える役割、やりたいことに理屈をつけて説得できてしまう役割。要注意人物だと思わされた時点で、この漫画は楽しく読める。

顔で人選びやがってー!!!ていう人が裏切ってたけど、せめて痩せる努力をしてからにしようぜ、文句いうのは。あと、明るい人達は明るい人達なりの努力を払ってるよ。問題が少し、登場人物の悩みは時々、もう昔に解決したようなのがあって、そこはちょっとマイナスだ。


暴力で支配するサワダって書かれてあったけど、暴力じゃない!新選組と同じ、統治体制やと思う。誠に集まってるか、性欲に集まってるかの違いはあるけど、構造は一緒だ。土方が、頭のいいやつは排斥して扱いやすいコマを残したのと同様に、ハラの中とクチが違ってるやつは追い出す。女は不憫だが、反抗勢力にはなりえない。


自分が残って、相手がなくなっちまえばそれでいい。自分の陣地がどれだけ減るかは関係ない。簡単なことだーってさ。サワダは悪なのか。とくに、法の規制がない場合、サワダを悪とするのは自分のエゴだけじゃないの。そもそも女性がセックスすることなんか、どうやろ。そんなに嫌かな。行動力、企画力はすごいな、双方。面白い。