Tips for teaching

信用と責任について

中学生は未成年だから、責任がない。
責任がないから、約束を破っても、責めることができない。
大人との約束であれば、約束を破ればその人の責任を問うことができる。

約束を破れば、不利になるという状況があることで、信用できる。不利になるから、下手なことはしなくなる。
中学生は約束を破っても、不利になることがない。責任はすべて、親になることになっている。法律が、社会がそのように決めている。

子供と大人は対等でない。
わかりやすくいえば、未成年はお酒が飲めない。車の運転も、年齢によって制限される。これは別に馬鹿にしているわけではなくて、しかし発達段階に応じて適切、不適切なものはある。
そういう意味で、中学生をまったく対等に扱ってはいない。大人にはある責任が、子供にはないから

子どもに勉強をさせる義務が親にはあって、勉強をしていると本人にとっても便利だから勉強したらいいと思うのだが、そういう便利さも別にいらないというのなら、子どもに義務はないし、勉強しないという選択肢もあるかもしれない。

便利さというのはどういうものかというと、勉強をがんばっていることを、社会は喜ぶものだということだ。これまでの人生がんばってきた人間を、社会は高く評価する。これからもがんばってくれるだろうと思って、よくしてくれる。
例えば、ドッヂボールをするとなったとき、これまでもボールを上手に投げてきた人間を優先して仲間にするだろう。体育の時間に、まったくボールに触れない人間を優先して仲間にすることはないだろう。そういうことを実は、社会が勉強においてもやっているのだ。

勉強しないと苦労するよと言ったけれど、勉強しない子供には、自分は勉強はしない人間なんだという強い確信があり、勉強をしない生徒の将来を悪く言うことは、生徒本人を攻撃しているものと、生徒は受け取るみたいだ。自分の所属する種類が悪く言われたら、弁護したくなる気持ちはわかるが。

決まりの中で生きる大人と、感情で生きる中学生。決まりは決まりとお互いの了解があるから、信用できるが中学生は、感情で生きてるから約束が意味を成しにくい。約束しても、感情が優先する。そして感情を優先して約束を破っても、責任がないから罰もない。

会社のルールがいまいち実感できないらしい。わかりやすく言えば、約束を破れば、先輩に殴られることになるということだ。
先輩に、先輩の悪口を言う人がいたら、先輩に報告するように言われている。言わなければ殴られるのだが、友達には悪口を言ってたことを言わないでくれと言われている。

友達の事情と、先輩の事情と、自分の事情との衝突。言えば友達に悪い、言わなければ先輩に殴られる。

ただこれはあくまで大人の事情であって、親と話すのであれば納得してもらえるかもしれないが、中学生その人に言うべきものではないかもしれない。
誰が子供じゃボケがあ!となってしまった。中学生には中学生の立場とプライドがあるのだから、と諭される。見落としていた。

おかしいなあ。中学生は、相手の立場を理解できるはずなんだが。勉強のよくできるあの子は、相手の立場に立って物事を考えることができる。できないのは、未発達なのか?むしろ、相手の立場に立てる客観性があることで、自分の立場にも客観的に立てて、立てるからこそ勉強するのかな。